循環型社会を目指す株式会社BLANCが提案する地域と共に成長するホテルの形

2025.03.21

株式会社BLANC 代表取締役CEO 山中 拓也さんインタビュー

代表取締役CEO 山中 拓也
立教大学観光学部在学中にシェアハウス事業を立ち上げる。卒業後はスタートアップ支援会社に入社し、HR事業責任者として新規事業の立ち上げを経験。2016年、ホテルや民泊、レンタルスペースを運営する株式会社TRIPMOLEを創業し、地域資源を活かした宿泊体験の提供を推進する。2018年には株式会社RuGu(現 株式会社BLANC)を創業。「余白をつくる」を理念に掲げ、自然共生型ホテルの運営を通じて、地域活性化や循環型社会の実現に向けた取り組みを展開している。

introduction

BLANC FUJI
画像提供元:株式会社BLANC

株式会社BLANCは、「余白をつくる」という理念のもと、自然と共生する宿泊施設の開発・運営を行っています。移動可能な宿泊施設「Movilla」を自社開発し、自然との境界線を限りなくゼロに近づけた新しい宿泊体験を提供しています。また、エネルギー循環型ホテル「Circulla」の研究も進めており、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを展開しています。

今回は、代表取締役CEOの山中 拓也さんに、株式会社BLANCの自然共生型ホテルの取り組みについてお話を伺いました。

株式会社BLANCの事業内容や理念について教えてください。

BLANC FUJI
画像提供元:株式会社BLANC

山中さん:

私たちBLANCは、「余白をつくる」というコンセプトのもと、これまでの「建てる」「壊す」というホテル開発とは異なる、新しい宿泊施設の形を提案し、トレーラーハウスを活用した自然共生型のサステナブルホテルを展開しています。

この取り組みは、環境への負荷を最小限に抑えながら、未利用地を有効活用し、大自然の美しさをそのまま残した宿泊施設を実現。「余白」というコンセプトのもと、訪れる方々に「心・頭・体の余裕」を取り戻していただき、自然の中で新たな発見や創造性を育む体験を提供することを目指しています。

また、地域社会との連携を大切にし、地元の素材や文化を積極的に取り入れることで、持続可能な観光と地域振興へ貢献しています。

「自由でサスティナブルなホテルづくりを可能にする」というミッションはエコツーリズムやSDGs観光にどのように繋がると考えていますか?

BLANC MIYAKOJIMA
画像提供元:株式会社BLANC

山中さん:

私たちのミッションは、単なる宿泊施設の提供を超えて、訪れる方々が自然との共生や資源の循環を体験できる場を作ることにあります。

移動型ホテルという形を採用することで、従来のホテル建築が難しい未利用地を有効活用しながら、その土地に根ざした文化や自然の魅力を伝えています。これにより、観光が地域資源の消費ではなく、共創を通じた価値の創出の場となることを目指しています。

この取り組みは、エコツーリズムの推進だけでなく、SDGsの「11 住み続けられるまちづくりを」「12 つくる責任 つかう責任」「15 陸の豊かさも守ろう」に直接貢献しています。

「Mobile Smart Hotel」はどのようにエコツーリズムやSDGsの目標達成に貢献していますか?

BLANC MIYAKOJIMA
画像提供元:株式会社BLANC

山中さん:

「BLANC HOTEL」は、環境に優しい移動型宿泊施設として設計されており、地域社会と自然環境の両方に貢献する仕組みを持っています。例えば、施設の建設に際しては環境への影響を最小限に抑え、再生可能エネルギーを積極的に活用しています。

また、地産地消を推進し、地域の生産者から直接調達した食材を活かした地元の豊かなメニューを提供しています。このホテルに泊まるだけで、訪問者は地域経済の活性化に貢献し、環境保護を支援することができます。

BLANC FUJI
画像提供元:株式会社BLANC

さらに、宿泊施設そのものが循環型社会のモデルとなっており、訪れる方々には持続可能な未来への一歩を実感していただけます。単なる滞在ではなく、社会や自然に対してポジティブな影響をもたらす体験を提供することが「BLANC HOTEL」の特徴です。

自然共生型ホテルの展開において、地域住民や自治体とはどのように連携していますか?また、その連携が地域の観光振興や持続可能な発展にどのように貢献していますか?

BLANC MIYAKOJIMA
画像提供元:株式会社BLANC

山中さん:

不完全な存在である私たちが、地域住民や自治体と連携し、私たちだけで完結しない場所を作っていくことが、BLANCの事業の基盤となっています。

BLANC FUJI
画像提供元:株式会社BLANC

例えば、地域の生産者から直接食材を調達し、それを活かした地産地消のメニューを開発しています。

また、自治体と協力して未利用地を宿泊施設に転用することで、地域の新たな観光拠点を創出しています。こうした取り組みによって、地元経済の活性化や雇用の創出にもつながっています。

さらに、宿泊客には地域の文化や自然に触れる体験を提供し、その地域の魅力を伝えることで観光振興に貢献しています。

自然共生型ホテルの運営で直面した課題は何ですか?また、それをどのように乗り越えたのか教えてください。

BLANC FUJI
画像提供元:株式会社BLANC

山中さん:

自然共生型ホテルの運営において、最大の課題は「環境保護と観光需要のバランス」でした。自然を最大限に保護しつつ、訪問者に快適で魅力的な宿泊体験を提供することは、従来のホテル運営とは異なる新たな挑戦でした。

例えば、施設の建設時には土地を壊さずに宿泊施設を設置する方法が求められました。この課題に対して、私たちは移動型のトレーラーハウスを採用し、建築の必要がない柔軟なアプローチを取ることで解決しました。また、再生可能エネルギーの導入や地産地消の推進により、地域資源を最大限活用しながら環境負荷を最小限に抑える工夫を行いました。

もう一つの課題は、地域住民や自治体との信頼関係の構築です。自然環境を活用した宿泊施設を展開する際には、地域の方々に理解と協力を得ることが不可欠でした。そのため、自治体や地域住民と密に連携し、施設運営が地域にどのようなメリットをもたらすのかを丁寧に説明しました。さらに、地元産品の活用や雇用創出を通じて、地域の持続可能な発展に貢献する姿勢を示すことで、信頼関係を築くことができました。

このように、課題に対して柔軟な発想と地域との共創を通じて克服してきたことが、BLANCの強みであり、今後も持続可能な社会の実現に向けた成長につながると考えています。

BLANC MIYAKOJIMA
画像提供元:株式会社BLANC

サスティナブルなホテル運営で生まれた、「これは普通なら思いつかない」といった“ななめうえ”のアイデアが形になった例があれば教えてください。

BLANC MIYAKOJIMA
画像提供元:株式会社BLANC

山中さん:

私たちBLANCでは、自然との共生を軸に「余白をつくる」という理念を掲げ、ホテル開発の各ステップで環境負荷を軽減し、循環型社会の一翼を担う取り組みを続けています。

まず、ホテル建設時に発生する廃材の再利用です。例えば、BLANC FUJIのフロントデスクやベンチは、建築時に発生した廃材を再利用して作られています。これにより、廃材が無駄になることを防ぐだけでなく、施設そのものに「循環」のメッセージを込めることができました。訪れるゲストの方々にも、BLANCの価値観を感じていただければと思っています。

BLANC FUJI
画像提供元:株式会社BLANC

次に、八ヶ岳での開発における取り組みです。一般的な開発では、多くの木々が伐採されることもありますが、私たちのホテルづくりでは自然への影響を最小限に抑えることを重視し、伐採は必要最低限にとどめています。客室は、自然と調和するように配置する「マイクロディベロップメント」という手法で設計されています。これにより、その場の自然を最大限に活かしながら宿泊施設を設けることができています。自然を尊重しながら共存するこの姿勢は、私たちが大切にしている「循環の余白」を象徴する取り組みです。

また、「BLANC MIYAKOJIMA」では、ゲスト参加型のビーチクリーン活動をアクティビティとして開催しました。訪れる方々が直接自然環境の保全に関わる機会を提供することで、滞在そのものが地域や環境への貢献となる仕組みをつくりました。これからも「MIYAKOJIMA」だけでなく、「BLANC HOTEL」全体で継続的なプログラムへと成長させたいと考えています。

これらの取り組みは、BLANCが目指す「サスティナブルな未来を試す場」というビジョンを具現化したものです。単なる観光施設ではなく、地域や環境と調和し、新たな循環を創出するBLANCらしいアプローチだと自負しています。

BLANC MIYAKOJIMA
画像提供元:株式会社BLANC

今後の事業展開において、エコツーリズムやSDGsに関する新たな取り組みはありますか?

BLANC FUJI
画像引用元:株式会社BLANC

山中さん:

今後は、エネルギー自給自足型の完全循環型(オフグリッド)ホテルの実現を目指しています。具体的には、自家発電や上下水の循環システムの導入を進め、環境への負荷をゼロに近づける取り組みを強化していく予定です。

さらに、国内だけでなく海外のエコツーリズム市場にも挑戦し、BLANCの理念を世界に広げていきたいと考えています。グローバルなSDGs達成に寄与する事業を展開していきたいと思っています。

株式会社BLANC・会社概要

BLANC MIYAKOJIMA
画像提供元:株式会社BLANC

社名 株式会社BLANC (ブランク)
本社所在地 〒106-0032 東京都港区六本木1-4-5 Ark Hills South Tower 16F Wework
設立 2018年5月21日
代表者 代表取締役 CEO 山中 拓也
事業内容 「建てる、壊す」ではなく「設置する、移動する」へ
自社プロダクト“Mobile Smart Hotel”を活用し、自然共生型ホテルの企画・開発・運営
公式サイト https://blan-c.com/

未来の宿泊体験を創る、株式会社BLANCのまとめ

BLANC FUJI
画像提供元:株式会社BLANC

株式会社BLANCは、自然と共生する新しい宿泊の形を提案する企業として、サステナブルなホテルづくりを実現しています。移動型の宿泊施設やエネルギー自給自足型のオフグリッドホテルの開発など、環境負荷を抑えながら快適な宿泊体験を提供する取り組みを続けています。

さらに、地域との連携を大切にし、地産地消の推進や未利用地の活用、観光資源の新たな価値創出を通じて、持続可能な観光の発展に貢献。国内にとどまらず、海外のエコツーリズム市場への展開も視野に入れ、より広い視点で環境と共生する未来を描いています。

環境への配慮と心地よい旅を両立させる株式会社BLANCの挑戦に、今後も目が離せません。

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