クラフトビール粕から再生紙へ!株式会社kitafukuの地域と未来をつなぐ挑戦

2025.07.04

株式会社kitafuku 代表取締役 松坂 匠記さんインタビュー

画像引用元:株式会社kitafuku

代表取締役 松坂 匠記
株式会社kitafuku代表。福岡県北九州市出身。IT企業で医療系のシステムエンジニアとして勤務後、フリーランスを経て2019年に起業。「好きなこと」「得意なこと」を活かしたコミュニティづくりや地域の持続可能なまちづくりを推進し、クラフトビールの副産物であるモルト粕を再生紙に活用するプロジェクトなどを手掛ける。IT技術と地域資源の融合により、新たな価値創造を目指している。

introduction

画像引用元:株式会社kitafuku

横浜・みなとみらいを拠点に、地域資源を活かしたものづくりを展開している株式会社kitafuku。

なかでも注目を集めているのが、クラフトビールの醸造過程で生まれるモルト粕を再利用した「クラフトビールペーパー」の取り組み。これまで廃棄されていた副産物を、紙として新たな命を吹き込むこのプロジェクトは、環境への配慮だけでなく、地域のブルワリーや学校との連携を通じて持続可能な社会づくりにも貢献しています。

今回は、代表取締役の松坂匠記さんに、株式会社kitafukuの再生紙プロジェクトのこだわりや未来への思いについてお話を伺いました。

株式会社kitafukuが大切にしている理念や事業内容について教えてください。

画像引用元:株式会社kitafuku

松坂さん:

株式会社kitafuku(キタフク)は、2019年に設立された横浜市を拠点とする企業です。「地域の課題を二人三脚で解決する」を理念に掲げていて、地域の企業や行政と連携し、社会課題の解決に取り組むことを目指しています。

主な事業は、クラフトビールの製造過程で生まれる副産物「モルト粕(かす)」を活用した再生紙「クラフトビールペーパー」の開発・販売です。

横浜市のSDGs認証制度「Y-SDGs」の認証を受けており、地域に根ざした持続可能な取り組みを推進しています。

「地域の課題を二人三脚で解決する」という理念が、どのようなエコツーリズムやSDGsの推進に活かされているのか教えてください。

画像引用元:株式会社kitafuku 公式Facebook

松坂さん:

私たちは、地域それぞれの課題や資源に向き合い、地域の方々と二人三脚で取り組み形にしていくことで、観光資源や製品づくりにつなげています。横浜の観光スポットである赤レンガ倉庫やマリンタワーでも、おみやげ品としてクラフトビールペーパーの製品を置いていただいています。

地域資源の再発見と活用(=エコツーリズムの核)

画像引用元:株式会社kitafuku

クラフトビールの副産物であるモルト粕を再生紙にするプロジェクトでは、捨てられていたものに価値を与え、地域内で循環させる仕組みを生み出しています。これは、自然資源の活用と環境教育を兼ね備えたエコツーリズムの考え方と深く結びついています。

持続可能な仕組みづくり(=SDGsへの貢献)

画像引用元:株式会社kitafuku

私たちは、クラフトビールペーパーの取り組みを通じて、単なる商品開発にとどまらない、地域課題の解決に向けた持続可能な仕組みづくりを目指しています。
地域のブルワリーや印刷会社、教育機関など幅広い関係者と“二人三脚”で協力しながら、資源循環や環境配慮、そして地域経済の活性化に取り組んでおり、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標12(つくる責任 つかう責任)といった目標にも貢献できるよう活動しています。

誰もが関われる観光・地域づくり

画像引用元:株式会社kitafuku 公式Facebook

kitafukuの支援スタイルは「やってみよう」の一歩を大切にするものです。専門家でなくても、どんな立場の人でも地域づくりに参加できる余白をつくる。これはエコツーリズムの理念である「住民主体の観光づくり」とも合致し、多様な人が関わることで、地域に根ざした本物の体験を提供することにつながっています。

kitafukuの活動は、地域活動を地域の人々の「想い」や「関係性」を起点に再構築することで、環境・経済・社会の調和を実現するSDGs型のローカルモデルとなっています。

再生紙事業で活用されているクラフトビールのモルト粕の再利用について、そのアップサイクルや持続可能性への影響について教えてください。

画像引用元:株式会社kitafuku 公式Facebook

松坂さん:

クラフトビールを仕込む際、麦芽(モルト)を煮出した後に残る「絞りかす」がモルト粕です。これは廃棄物や家畜の飼料などに使われることもありますが、大量に出るため、処理に困るブルワリーも多いのが現状です。

画像引用元:株式会社kitafuku 公式Facebook

私たちはまず、横浜を中心とした地域のクラフトビールブルワリーから新鮮なモルト粕を引き取ってアップサイクルしています。モルト粕は水分が多く腐敗しやすいですが、再活用のエネルギーを抑える工夫を行い、脱水や乾燥をせずに製紙しています。

画像引用元:株式会社kitafuku 公式Facebook

こうしてできた紙は、ポストカードや名刺、商品パッケージなどに加工して製品化し、地域のイベントや企業のサステナブルPRツールとしても活用されています。

画像引用元:株式会社kitafuku 公式Facebook

株式会社kitafukuが特に力を入れているSDGs目標について、その達成に向けた具体的な取り組みを教えてください。

画像引用元:株式会社kitafuku 公式Facebook

松坂さん:

私たちkitafukuは、クラフトビールの製造過程で生まれる副産物「モルト粕(かす)」を再生紙として活用し、環境・経済・社会の3つの側面から、持続可能な社会づくりに取り組んでいます。とくに注力しているのが、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」の実践です。

画像引用元:株式会社kitafuku 公式Facebook

まず環境への取り組みとして、これまで焼却処分されていたモルト粕を資源として再利用することで、CO₂排出の削減を目指しています。再生紙はFSCミックス認証を取得した工場で製造し、古紙などの環境に配慮した素材を組み合わせることで、よりサステナブルな紙製品づくりを行っています。

社会への貢献としては、モルト粕からできた再生紙をクラフトビールのブルワリー併設の飲食店などで、メニュー表やコースターとして再活用。これにより、地域内での資源循環が生まれ、企業の環境配慮への取り組みや、地域経済の活性化にもつながっています。

また、社会への広がりとして、再生紙はオンライン販売時のギフトボックスにも活用されており、消費者の皆さんにも環境への関心を持っていただくきっかけになります。さらに、子どもたちの食育に取り組む団体にも紙製品を提供しており、子ども向けワークショップや学校での講演なども数多く行っています。ビールを飲まない世代にもSDGsの意識が広がるよう取り組んでいます。

画像引用元:株式会社kitafuku

環境保全と観光を両立させるために、株式会社kitafukuが特に意識していることは何ですか?

画像引用元:株式会社kitafuku 公式Facebook

松坂さん:

クラフトビールの製造過程で生まれるモルト粕を再生紙として活用する取り組みでは、本来廃棄されるはずだった資源が、地域の飲食店や観光施設でメニュー表やコースターとして再活用されています。このような仕組みがあるからこそ、訪れる観光客が地域のサステナブルな取り組みに自然と触れることができ、「学び」としての観光体験へとつながります。

また、kitafukuは地元の人々や事業者と連携しながら、ものづくりや食、自然体験などを通して「一緒に考える・つくる」場づくりにも取り組んでいます。このような日常に根ざした活動があるからこそ、地域に深く入り込んだ滞在型観光やエコツーリズムとして展開しやすくなり、観光が地域文化や環境を守る力にもなっています。

kitafukuの取り組みは、観光を一方的な消費ではなく、地域とつながり、未来を考える機会へと変えていく力を持っていると考えています。

今後、エコツーリズムやSDGsを展開していく上で、新たに挑戦したいことや実現したいプロジェクトはありますか?

画像引用元:株式会社kitafuku 公式Facebook

松坂さん:

地域限定・体験型ペーパーワークショップツアー

今後取り組みたいことのひとつは、クラフトビールのモルト粕を使った再生紙づくりを実際に体験できる「クラフトビールペーパーづくり体験ツアー」です。地元のブルワリーや地域工房、観光農園と連携した、地域の文化や自然を体感できる滞在型体験で、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」や、目標4「質の高い教育をみんなに」とも関わる取り組みです。

クラフトビールと紙でつながる国際交流プロジェクト

他国などの海外のクラフトビールメーカーと連携し、モルト粕再生紙を使った「お互いの文化を紹介するポストカードセット」を共同制作。クラフトビールは海外でも人気があり、クラフトビールペーパー自体も海外から関心を寄せていただいています。国際交流イベントで展示や販売、観光客に向けたお土産や地域紹介ツールとして活用します。ここでは、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」や、目標11「住み続けられるまちづくりを」を意識しています。

子どもとつくる!“未来の乾杯”メッセージ企画

ビールを飲めない子ども世代にも“紙”を通して関われるよう、クラフトビールペーパーで未来に贈るギフトボックスをデザインできる体験です。食育や環境教育団体と連携し、観光地で教育体験と融合した、親子で参加できるワークショップとなっており、SDGsの目標12、13、そして4の達成に向けて楽しみながら取り組める活動となっています。

株式会社kitafuku・会社概要

社名 株式会社kitafuku
本社所在地 〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-7-1
設立 2019年7月23日
代表者 代表取締役 松坂 匠記
事業内容 ・クラフトビールのモルト粕を活用した再生紙事業
・SES(システムエンジニアリングサービス)
公式サイト https://kitafuku-project.com

クラフトビールペーパーで地域と未来をつなぐ株式会社kitafukuのまとめ

画像引用元:株式会社kitafuku

クラフトビールの副産物「モルト粕」に新たな命を吹き込み、地域と観光、環境、そして未来をつなぐ仕組みを築いている株式会社kitafuku。

事業そのものが地域の資源循環や教育の場となり、誰もが関われる“体験”へと形を変えているのが印象的。

今後は子ども世代や海外との連携にも力を入れ、より広がりのあるSDGs型ローカルモデルへと成長していく様子がとても楽しみです。

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