間伐材を活用した雪板づくり「一般社団法人 やまがたアルカディア観光局」の取り組み

2025.02.07

一般社団法人 やまがたアルカディア観光局 髙橋 司さんインタビュー

画像提供元:一般社団法人 やまがたアルカディア観光局

髙橋 司
1994年山形県生まれ、在住。一般社団法人 やまがたアルカディア観光局の前身組織「やまがた長井観光局」時代に入社し、長井市に来て楽しむ旅行企画造成や運営スタッフとして携わる。同社が設立後、現在は同社が管理委託を受ける「野川まなび館」に配属となり、施設周辺や近くの長井ダムに広がる自然を活用した体験アクティビティ事業の企画・運営やアクティビティガイドとしてお客様を案内している。

introduction

画像引用元:一般社団法人 やまがたアルカディア観光局

一般社団法人やまがたアルカディア観光局さんは、山形県南部の長井市、南陽市、白鷹町、飯豊町、小国町の2市3町から成る「やまがたアルカディアエリア」で、持続可能な地域づくりを推進しています。この地域は、19世紀の女性旅行家イザベラ・バードが「東洋のアルカディア」と称賛した美しい自然と豊かな文化が息づく場所です。

SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、地域資源を活用した教育旅行プログラムを提供し、このプログラムを通じて、参加者は地域の自然や文化に触れながら、持続可能な社会の実現に向けた学びを深めることができます。

やまがたアルカディア観光局は、地域の魅力を伝えるとともに、未来へ続く持続可能な社会づくりに貢献しています。

地域の自然を最大限に活用した特別な体験

画像提供元:一般社団法人 やまがたアルカディア観光局

– やまがたアルカディア観光局の事業内容について教えてください。

髙橋さん:

一般社団法人 やまがたアルカディア観光局は第2種旅行業に登録している旅行会社であり、旅行企画の提供と実施が主な事業となります。

– 髙橋さんはどのような業務を担当されているのでしょうか?

髙橋さん:

その中でも私が働く野川まなび館では、緑あふれる自然環境を活用した自然体験アクティビティを提供しております。主な内容としては、春先から夏までは長井ダム湖、通称「ながい百秋湖」を活用したウォーターアクティビティ、秋には紅葉が美しい山々を巡る登山ツアー、冬期にはスノーシューや雪板で雪遊びを全力で楽しむツアーなどがあります。

– 企画を立てる上で、大切にしていることは何ですか?

髙橋さん:

私としては「楽しい体験を参加者へ提供する」よりも「自分たちが楽しいと感じる体験を参加者と共有する」ことを重点において企画を考えています。

「東洋のアルカディアを子どもたちへ」未来への想いを込めて

画像提供元:一般社団法人 やまがたアルカディア観光局

– 「東洋のアルカディアを子どもたちへ」というミッションには、どのような想いが込められているのでしょうか?

髙橋さん:

この地にある文化、自然のありのままの姿を次の世代へ継承していくための持続可能性を体現した言葉になります。「田舎は不便で大変なところ」と考える方々に、都会にない魅力を伝えることも大切ですが、この地域で育った若い世代が住み続けたい、またこの地で暮らしたいと思える場所を守り続けることが大切だと思っています。

– ミッションを実現するために、具体的にどのような取り組みを行っていますか?

髙橋さん:

住んでいるだけでは気付けない、他所の方から見ると非常に魅力的なコンテンツが山形には沢山あります。そんなコンテンツや提供する方々がもっと多くの方の目に留まるような、魅力あるツアー企画を提供することも使命の一つだと考えています。

自然との共存を大切にする観光局のSDGsへの取り組み

画像引用元:一般社団法人 やまがたアルカディア観光局

– 貴観光局の事業内容とSDGsの17目標の関連性について教えてください。特に注力している目標はありますか?

髙橋さん:

自然環境と関わることが多いことから、やはり「15.陸の豊かさも守ろう」は常に意識しています。

– 具体的にはどのようなことを意識されているのでしょうか?

髙橋さん:

自然の中で楽しむ体験を提供していますが、あくまで自然の中にお邪魔しているという意識を常に持つようにしています。ゴミを捨てたり環境を汚す行為は行わないことはもちろん、ガイドをする際には自然の恵みを頂く場合でも、根こそぎ頂くのではなく、必要な分だけ少量を頂くようにして、自然のバランスを崩さないよう心掛けています。

スギの再活用と雪遊びを未来につなぐ「雪板づくりワークショップ」

画像提供元:一般社団法人 やまがたアルカディア観光局

– 「雪板づくりワークショップ」を始めたきっかけについて教えてください。

髙橋さん:

始めたきっかけとしては大きく2つあります。まず1つ目は、間伐で切る必要があったスギの木が活用されず困っている実情を知ったことです。今、全国的にスギの需要が減少しており、森を守るために間伐せざるをえなかったスギを活用する先が見つからず、製材所や森の中に残されたままになっているケースが多くあります。そんなスギの需要減少を少しでも助けつつ、実際に体験いただく方々にもその実情を知ってもらう機会を作りたいと考えたのが大きなきっかけのひとつです。

– もう1つのきっかけについても教えてください。

髙橋さん:

もう1つのきっかけは、同じ山形で雪板の普及を進める方と知り合えたことです。「BuddhaBlank(ブッダブランク)」というブランドで雪板の販売や制作ワークショップの開催、体験会などを行っている丸山さんという方です。名前に「ブッダ」と付いている通り、本職はお坊さんをされています。

画像提供元:一般社団法人 やまがたアルカディア観光局

– 丸山さんとの出会いが「雪板」に繋がったのですね。それがどのような影響を与えましたか?

髙橋さん:

冬の雪遊びをいろいろと調べる中で、丸山さんが普及を行う「雪板」を知りました。雪板は手軽ながらも奥が深く、大人から子どもまで分け隔てなく楽しめる様子を見て、ぜひ私たちも一緒に盛り上げたいと強く感じ、丸山さんにコンタクトを取りました。

– 実際にワークショップを開催するまでの過程を教えてください。

髙橋さん:

丸山さんに「主に地元の子どもたちへの普及を目的とした制作ワークショップを開催したい」という旨をお伝えし、承諾をいただきました。その後、主催するワークショップへ実際に参加し勉強させていただきました。

「一家に一枚」で楽しむ雪板の魅力

画像提供元:一般社団法人 やまがたアルカディア観光局

– 雪板づくりワークショップを通じて、どのようなメッセージを伝えたいと考えていますか?

髙橋さん:

このワークショップを通じて、「雪板は楽しい」と感じていただきたいというのはもちろんですが、「雪遊びは楽しい」「雪が降るのが楽しみ」と思ってもらえるようになれば良いなと思っております。雪国出身の方、特に地元山形の方は「雪=大変」というイメージを持つ方が多いです。

– 雪国特有の「雪=大変」というイメージをどのように変えたいと考えていますか?

髙橋さん:

確かに雪かきなど、雪国には大変なことも多いですが、雪板のように手軽でどこでも遊べるアイテムがあることで、少しでも「雪が降るのが楽しみ」に思っていただけるようになれば嬉しいです。

– 家族で楽しむアイテムとしての雪板について、どのような提案をされていますか?

髙橋さん:

雪板は、まずご家族に1枚あれば皆で楽しめることから「一家に一枚」という言葉とともに、多くの方に雪板の楽しさと、日本の森のことを少しでも身近に感じてもらえるようになれば嬉しいです。

手軽さと自由さが魅力!山形の自然を満喫する雪板体験

画像提供元:一般社団法人 やまがたアルカディア観光局

– 雪板の最大の魅力とはどのような点でしょうか?

髙橋さん:

やはり手軽さが大きな魅力のひとつだと感じています。スキーやスノーボードと違い、板と雪遊びができる格好さえ用意すれば、どんな場所でもすぐに楽しめる手軽さは、雪板を始める良いきっかけになると思っています。

– 雪板には手軽さ以外の魅力もあると思いますが、それはどのような点でしょうか?

髙橋さん:

奥の深さも雪板の魅力として欠かせない要素です。板の大きさや形状で乗り味が変わるのはスキーやスノーボードにも言えることですが、板と足を固定しない雪板だからこそ、乗る姿勢や足を乗せる位置で楽しみ方が大きく変わるのも大きな魅力だと考えています。

画像提供元:一般社団法人 やまがたアルカディア観光局

– 山形の自然を活かした楽しみ方があれば教えてください。

髙橋さん:

手軽で、楽しみ方の幅が広い雪板だからこそ「自分だけの雪板フィールド」を見つけてもらうのが、自然が豊富な山形ならではの”ななめうえ”な楽しみ方として普及したいと思っています。海外を中心に、急な山の斜面や手付かずの森の間を滑るバックカントリーという楽しみ方がありますが、どうしても危険を伴うイメージが先行してしまうかと思います。雪板をやるならそこまで本格的な場所でなくても、ちょっとした丘や雪が積もる自然公園、川沿いの河川敷なんかのどんな場所でも雪板フィールドになります。一度体験してみると、どんな場所に行っても良い感じの斜面を見つけると「あそこで雪板できそうだな」と考えてしまうようになります。

– 初心者向けの体験も提供しているのでしょうか?

髙橋さん:

我々は「自然の中で雪板を体験してみたい」「実際に作った板の楽しみ方を知りたい」といった方々向けにスノーシューと組み合わせた雪板体験ツアーも提供しています(https://tour.arcadia-kanko.jp/products/detail/104 ※年明けリニューアル予定)。まだ雪板を体験したことのない方にもオススメですので、ぜひご予約お待ちしています!

一般社団法人 やまがたアルカディア観光局・会社概要

社名 一般社団法人 やまがたアルカディア観光局
所在地 〒993-0003 山形県長井市東町2番50号
連絡先 Tel:0238-88-1831
Fax:0238-88-1812
運営者 内谷 重治
公式サイト https://arcadia-kanko.jp/

山形の自然と遊びを体験できる一般社団法人 やまがたアルカディア観光局のまとめ

画像提供元:一般社団法人 やまがたアルカディア観光局

自然豊かな山形の魅力を存分に楽しめる体験や活動を提供する「やまがたアルカディア観光局」。スノーシューを履いて雪の中を歩き、間伐材から作られた「雪板」を使って自由に滑る体験ツアーは、山形での冬の楽しさを発見する絶好の機会です。雪板の魅力はその手軽さで、特別な設備がなくても、少しの雪と斜面があれば、どんな場所でも雪板フィールドとして楽しむことができます。

また、間伐材を使った雪板づくりワークショップは、地域資源の活用や環境保全にも貢献しています。作った板に実際に乗ることで、自然と共存しながら遊ぶ楽しさを感じることができます。雪板はただのアクティビティではなく、「雪遊びって楽しい!」と思わせてくれる魔法のアイテム。雪国で暮らす人々の「雪=大変」というイメージを変えるきっかけになるかもしれません。

山形でしか味わえない冬の楽しさを、雪板とともに体験してみませんか?自然の中で遊ぶ時間は、きっと心に残る特別な思い出になります。

SNSシェア

この記事を書いた人

tyinkarbel

書いた記事を読む

人気記事

人気・おすすめタグ

関連記事

Wataru

『特製バンバンライスやさん-Wataru-』開店1周年記念  3月8日(土)限定で人気メニューを100円でご提供!

2025.02.21
大手町プレイス防災イベント

【3月4日(火)大手町プレイス防災イベント】 行動が変わる1日 防災Action DAY 開催決定!

2025.02.21
味のくらやのからいも団子

宮崎でおすすめのお土産特集!現地でしか買えない名産品や雑貨・お菓子以外の食べ物など紹介

  • #宮崎
2025.02.21
THE PERSONAL GYM

入谷・鶯谷地域に新たな健康の拠点が誕生!パーソナルジム「THE PERSONAL GYM 入谷・鶯谷店」オープン!

2025.02.21
海ごこち

大阪・堺「黄金(こがね)あなごと季節の天ぷら 海ごこち」 開業10周年記念!累計来店人数40万人超! 生誕祭を2月20日(木)~22日(土)3日間開催

2025.02.21
ジョッゴ

ジョッゴ、川崎市内の小学校6年生に向けてキャリア教育授業を実施

2025.02.21