未来が生まれる、『場』をつくる。コングレ流“ななめうえ”な体験づくり

株式会社コングレ 高橋 友美さんインタビュー
画像提供元:株式会社コングレ
営業企画部の立場から、サステナビリティに関する全社施策の企画・推進を担当。2030SDGs公認ファシリテーターとして、社内外でのワークショップや情報発信を通じ、意識の醸成、理解の促進、実践の裾野を広げる取り組みを行っています。これまで、愛知・上海・ミラノ・大阪の各万博やG7サミット、文化施設の立ち上げなど、国内外の大規模イベントや施設運営に従事。MICEの現場で培った経験を活かして、持続可能なイベント運営のあり方を探るプロジェクトや講演活動にも取り組む。
introduction
画像提供元:株式会社コングレ
国際会議の企画運営からMICE施設や文化施設・観光施設の運営まで、全国各地で“交流の場”を創り出している株式会社コングレ。
MICE※1のプロフェッショナル集団として知られる同社が、いま力を注いでいるのが、持続可能な未来を見据えたサステナビリティの取り組みです。年間約250件のコンベンションの運営や全国90か所以上の施設での運営実績を活かし、脱炭素や多様性の実現といった社会課題に、地域とともに地道に向き合う活動を展開。
2030SDGs公認ファシリテーターの高橋さんを中心に、社員への意識醸成ワークショップも活発に行われています。
今回は、高橋さんに、株式会社コングレの「イベント×サステナビリティ」についてお話を伺いました。
※1MICE:Meeting(会議)、Incentive Travel(報奨・研修旅行)、Convention(国際会議)、Exhibition/Event(展示会・イベント)の頭文字を組み合わせた造語で、ビジネスイベントの総称です
株式会社コングレの事業内容や理念について教えてください
画像提供元:株式会社コングレ
高橋さん:
株式会社コングレは、「未来が生まれる、『場』をつくる。」を掲げ、MICEを通じて社会課題解決に取り組む企業です。年間約250件のコンベンション、全国90か所以上の施設の運営を通じて、ビジネスや学術分野における国際的なネットワークの形成や地域のにぎわいなど、さまざまな領域での交流を支援しています。
私たちの役割は、印象に残る体験を提供し、主催者の皆さまにとっての目的達成や価値向上につながるような、多様な提案を行うことだと考えています。そこにサステナビリティの視点を加えることで、単なる“イベントや施設の運営”ではなく、課題解決や価値創造につながる“場”のデザインにつながればと思っています。
SDGsやエコツーリズムを取り入れた『場』をつくるうえ特に意識していることを教えてください
画像提供元:株式会社コングレ
高橋さん:
参加者のリアルな体験を設計すること、そして、地域や社会とともに価値を共創する視点を持ち続けることが重要ではないかと思います。
国際会議や展示会、文化施設・観光施設の運営などを通じて、私たちは年間約1,500万人と接点を持っています。その影響力を活かし、サステナビリティや地域の魅力といった価値を伝えることができる、その影響力の大きさこそMICEの持つ力だと考えています。
たとえば地産地消メニューの提供や脱プラ対応、地域と連携した体験プログラムなど、“体験から理解へ”つながる仕掛けを取り入れてきました。さらに近年は、「どんな課題をこの場で解決できるか?」という視点も加え、サステナビリティを意識して提案できるよう、SDGs研修にも取り組んでいます。日々の実践から新たなアイデアが生まれ、持続可能な“場”づくりにつながる。そんな循環を目指しています。
コンベンションや展示会を運営する際、環境に配慮した具体的な取り組みを教えてください。
画像提供元:株式会社コングレ
高橋さん:
コンベンションや展示会には多様な開催形態があるため、規模や特徴に応じて最適な施策を提案しています。たとえば、地産地消のメニューや地元の魅力を活かしたアトラクションで、環境配慮と地域活性の両立を図る。印刷物を減らしてデジタル化を進める。マイボトル利用の促進やリユース食器の導入、リサイクル資材を使ったブース設営なども、その一例です。
これらの取り組みは、ISO20121(イベントサステナビリティ・マネジメントシステム)の認証と、独自の「コングレ サステナブルMICE実践ガイドライン」に沿って、企画段階から主催者と対話しながら進めています。最近では、イベントのCO₂排出量を数値で「見える化」する取り組みも開始しました。可視化することで課題を共有し、次のアクションにつなげやすくなります。
一つひとつの実践を好事例として蓄積・共有し、次のイベントへと活かす。そんな循環が広がることで、観光や運営の“当たり前”を超えた、ちょっと先を行く取り組みがどんどん実現できればと思っています。
海外のエコツーリズムやSDGs関連プロジェクトを通して得た学びや、日本で応用している取り組みがあれば教えてください。
画像引用元:株式会社コングレ
高橋さん:
コングレでは、観光やイベントの視点から都市のサステナビリティを評価する世界唯一の指標「GDS-Index(Global Destination Sustainability Index)」の日本事務局を務めています。70以上の項目で環境・社会・地域ガバナンスをスコア化するこの指標のおもしろい点は、地域では“当たり前”と思っていた取り組みが、世界的には高く評価されること。そうした価値を改めて発見し、地域の皆さんと一緒に発信することで、都市のブランディングや国際会議の誘致にもつながるのではないかと思います。
また、ICCA(国際会議協会)やIAPCO(国際PCO協会)などの国際ネットワークからは、コンベンションにまつわる先進事例が届きます。大切なのは、海外の事例をそのまま持ち込むのではなく、日本の文化や地域性を尊重しながら、うまく融合していくことではないかと思います。その積み重ねが、意識の定着と新たな発想の循環を生み、取り組みをより進化させていくと考えています。
施設運営において、訪れる人々が環境や地域に対する意識を高める仕掛けや工夫があれば教えてください。
画像提供元:株式会社コングレ
高橋さん:
私たちは、施設運営を単なる“場所の管理”ではなく、“地域や社会とのつながりを体感する場づくり”として捉え、来館者の意識変容につながる工夫を多面的に取り入れています。
管理運営している施設は、科学館や文化施設・観光施設、など多岐にわたりますが、それぞれにおいて地域性を活かすことを大切にしています。たとえば、科学館では、その土地ならではの自然・歴史・文化を反映させた展示やワークショップを通じて、地域の魅力に気づいてもらうきっかけをつくっています。
画像提供元:株式会社コングレ
私たちが管理運営する施設は、科学館や文化施設・観光施設など多岐にわたりますが、共通して大切にしているのは地域性を活かすことではないかと思います。
たとえば科学館では、その土地ならではの自然や歴史、文化を反映した展示やワークショップを開催。指定管理者として管理運営を行う国際会議場・展示場や劇場・コンサートホールと会議室の複合施設では、地域住民が集い語り合える空間を整えるとともに、防災拠点としての役割を生かし、避難訓練を組み込んだコンサートを開くこともあります。さらに、地域の農産物や工芸品を紹介するマルシェの開催や、地域雇用の創出など、「人を介した地域とのつながり」も大切しています。
株式会社コングレが提供する場やイベントで、参加者に10年後も記憶に残る『ななめうえ』な体験を作る秘訣があれば教えてください。
画像引用元:株式会社コングレ
高橋さん:
記憶に残る体験とは、心が動いた瞬間に生まれるものであり、そこに地域や社会との接点があることで、より深い意味を持つものになるのではないでしょうか。
画像引用元:株式会社コングレ
埼玉県のウェスタ川越で毎年開催している「SDGsアクションフェスタ」は、親子でSDGsを学べるワークショップや地域企業による展示を通じ、楽しみながら地域の未来を考えるイベントになっています。子どもが地元の企業や自然とつながる中で「自分も何かできるかも」と感じる——その気づきにつながっていればと思います。
画像引用元:株式会社コングレ
また、G7広島サミット後のアフターサミット見学会では、各国首脳が訪れた展示を市民に開放。中高生たちが世界のリーダーたちの足跡に触れることで、「広島という場所で世界が動いている」と実感できる機会となりました。
こうした地域との接点や世代を超えた学び、世界との関わりを身近に感じられる体験が、長く記憶に残るのではないかな、と思います。
サステナビリティの取り組みで、まず短期間でできることと、その先に目指していることを教えてください。
画像引用元:株式会社コングレ
高橋さん:
会社そのものが持続可能であり続けるためには、サステナビリティは“特別な活動”ではなく、事業を続けるうえで欠かせない基盤だと考えています。
短期的には、社員一人ひとりが身近な範囲で行動できる環境づくりと、その取り組みの「見える化」に力を入れています。全社でのSDGs体験型研修や、部門ごとのKPI設定によって、事業とサステナビリティの接続を明確にしました。一人ひとりができることを実践していく、ということです。これによって多くの新しい取り組みが生まれています。最近では、CO₂排出量の算定やイベントの環境負荷分析といった数値化にも着手しています。こうした取り組みは、時にコストとして捉えられがちですが、続けることで新しい発想や価値が生まれることもあります。MICEの持つ影響力を活かし、さまざまな事例や経験を共有・循環させることで、より多くの人や地域のお役に立てればと考えています。
基本情報
社名 | 株式会社コングレ |
本社所在地 | 東京本社 〒103-8276 東京都中央区日本橋3-10-5 オンワードパークビルディング 大阪本社 〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-51 Nakanoshima Qross 未来医療R&Dセンター |
設立 | 1990年6月 |
代表者 | 代表取締役社長 武内 紀子 |
事業内容 | MICEのトータルプロデュース ⚫︎コンベンション ・国際会議 ・医学系学会 ・企業ミーティング・セミナー・式典 ⚫︎展示会・イベント ・コングレ主催の展示会・イベント ・展示会の企画・運営・海外事務局 ・イベントの企画・運営 ⚫︎施設運営 ・コングレのホール&カンファレンス ・MICE施設を活用したまちづくり ・文化施設・観光施設 ・科学体験施設 |
公式サイト | https://www.congre.com/ |
まとめ
MICEのスペシャリストとして、「未来が生まれる、『場』をつくる。」を掲げる株式会社コングレ。
高橋さんの話からは、一つひとつのイベントや施設運営に、地域性やサステナビリティをどう丁寧に織り込んでいるかが伝わってきました。
体験を通じた気づきや、数字で見える変化づくり、そして世界の先進事例を地域に合わせて活かす視点。こうした積み重ねが、10年後にも心に残る“ななめうえ”の場を生み出しているのかもしれません。
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