文学ファン必見!「前橋文学館」名作から学ぶ近代詩史の旅と体験型展示のななめうえな魅力!

2024.09.11

晩年の荻原朔太郎(提供:前橋文学館)

今回は群馬県前橋市にある「前橋文学館」さんに取材させて頂きました!

「前橋文学館」特別館長:荻原朔美さんのプロフィール

萩原 朔美:1946年11月14日東京生まれ。映像作家、エッセイストとして幅広く活動し、多摩美術大学名誉教授、金沢美術工芸大学客員教授も務めています。

母は小説家萩原葉子、母方の祖父は詩人の萩原朔太郎。1967年、寺山修司主宰の演劇実験室「天井棧敷」の立ち上げに参加し、俳優や演出家として活躍。1975年には月刊誌『ビックリハウス』を創刊し、初代編集長を務めました。

これまでに『「演劇実験室・天井棧敷」の人々』(2000年)、『毎日が冒険』(2002年)、『死んだら何を書いてもいいわ』(2008年)、『劇的な人生こそ真実』(2010年)など、多数の著書を発表。

昨年、世田谷美術館に版画、写真、本のオブジェ130点が収蔵された。2016年4月より「前橋文学館」館長を務め、2023年7月からは前橋市文化活動戦略顧問としても活動。2024年4月より「前橋文学館」特別館長に就任し、「文学を超えた体験」の提供を目指しています。

「前橋文学館」をご紹介!

前橋文学館外観(提供:前橋文学館)

「前橋文学館」は、1993年(平成5年)9月3日に広瀬河畔にオープンしました。

前橋市は「近代詩のふるさと」として知られ多くの詩人たちを輩出してきました。街中にある同館は、口語自由詩の確立者である萩原朔太郎をはじめ、平井晩村や高橋元吉、萩原恭次郎、伊藤信吉など、前橋にゆかりのある詩人たちの足跡をたどることができる文化施設です。

特に萩原朔太郎の自筆原稿や書簡、詩集の初版本の資料など、全国一の質と量を有しています。これらの貴重な資料を常設展示するほか、定期的に特別企画展も開催しています。

また、前橋市が主催する「萩原朔太郎賞」の受賞者展も開かれており、現代の詩人たちの作品に触れる貴重な機会を提供しています​。

館の周辺には広瀬川河畔緑道が広がり、多くの詩碑が点在しています。ここは「文学散歩コース」として人気のスポットで、詩にまつわる名所を巡りながら、自然と詩情を楽しむことができます。

「前橋文学館」で注力している事業・イベント

 

「前橋文学館」では、文学を愛する人々に向けた多彩なイベントや事業を開催し、訪れる人々に詩の新たな発見と感動を提供しています。

「萩原朔太郎賞」受賞式と受賞者展

「前橋文学館」の代表的なイベントの一つが、毎年開催される「萩原朔太郎賞」の受賞式と受賞者展です。この賞は、現代詩における最も優れた作品に贈られる賞として、萩原朔太郎の功績を称え、詩の創作活動を支援する目的で平成4年(1992年)に創設されました。萩原朔太郎の詩の精神を現代に引き継ぐこの賞は、詩人たちにとって非常に名誉あるものです。

「受賞式では、選考委員による選評や、受賞者によるスピーチ、記念講演が行われます。受賞式の後に開催される受賞者展では、受賞の作品を中心に、詩作活動を紹介する展示や、トークショーなどの関連イベントが開催されます。これにより、来館者は現代詩の魅力や、詩をより身近に感じることができます。」

萩原朔太郎を偲ぶ「朔太郎忌」とリーディングシアター

もう一つの重要なイベントが、萩原朔太郎の命日である5月11日に行われる「朔太郎忌」です。この日は、朔太郎を偲び、彼の詩作への思いを新たにする特別な一日として、多くの詩人や文学ファンが集います。

イベントは二部構成で、第一部では朔太郎の詩の朗読やリーディングシアターが開催されます。プロの俳優や詩人が、萩原朔太郎の詩を声に出して読み上げ、その詩の持つリズムや響きを直感的に感じ取ることができるパフォーマンスを繰り広げます。

また、詩の背景や時代の雰囲気も視覚的に演出されるため、まるで朔太郎の時代にタイムスリップしたかのような臨場感を味わうことができます。

第二部の対談イベントでは、詩人や文学研究者、多様な分野の専門家が登場し、萩原朔太郎の詩作やその影響、さらには現代の詩のあり方について語り合います。

これにより、来館者は詩が持つ普遍的なテーマや現代における意義についても考えるきっかけを得ることができ、対談後のQ&Aセッションでは、参加者からの質問に答える形で、さらに深い議論が展開されることもあり、詩の世界をより深く掘り下げる機会となっています。

私たちがおすすめする「前橋文学館」の見どころ

 

「前橋文学館」を訪れた際にぜひ見逃してほしくない、3つの見どころをご紹介します。

萩原朔太郎の世界を徹底解剖する「朔太郎展示室」と多彩な企画展

前橋文学館常設展示室(提供:前橋文学館)

「2階にある常設展示室「朔太郎展示室」は、日本近代詩の巨星・萩原朔太郎の自筆原稿やノート、愛用品などを展示し、彼の人生と詩作の全貌を視聴覚的に体感できる貴重な展示が行われています。」

特に、朔太郎の創作に対する情熱や感性を感じられる展示として、『月に吠える』や『青猫』などの代表作の背景にあるエピソードも紹介されています。

さらに、2階と3階の企画展示室では、朔太郎以外にも、前橋にゆかりのある文学者や詩人にスポットをあてた多彩な企画展が開催されています。文学だけでなく、詩や言葉をテーマにしたさまざまな表現にも焦点を当てた企画展を開催しています。

原稿や書籍だけでなく、AR技術を用いた展示や、朗読音源、映像など、多角的に文学を楽しめる新しい体験型の展示も行われています。

館内壁面のいたるところには、朔太郎の代表作「旅上」「竹」「広瀬川」などが書かれており、館内を周遊しながら朔太郎や郷里の詩人の言葉の数々に触れられるようになっています。

こうした展示により、来館者は詩や文学の世界を視覚的、聴覚的に楽しむことができるため、より一層詩の世界に引き込まれること間違いなしです。

萩原朔太郎の詩の世界を身近に感じる「ミュージアムショップ」

ミュージアムショップでは、萩原朔太郎の詩集や文学館の企画展図録のほか、朔太郎が描いたイラスト「青猫」「ゴンドラ」「カラス」「草花模様」をモチーフにした多彩なオリジナルグッズが販売されています。

種類も豊富でお手頃な価格で購入できるため、老若男女問わずお土産としても好評です。​

さらに、朔太郎の詩のことばを萩原朔美特別館長がセレクトした缶バッジも人気アイテムの一つです。文学ファンのみならず、初めて詩に触れる人にも魅力的なアイテムとしてとても人気です。

歴史を感じながら文学を深く味わう「萩原朔太郎記念館」


萩原朔太郎記念館外観(提供:前橋文学館)

広瀬川をはさんだ河畔緑地にある「萩原朔太郎記念館」は、朔太郎の詩の創作活動の中心となった「書斎」や、戦火を逃れ多くの資料を守った「土蔵」、そして北原白秋や室生犀星などが訪れた「離れ座敷」など、創作現場をそのまま再現しています。

「書斎」では、朔太郎がどのような環境で詩を生み出したのか、その創作のプロセスをじっくりと感じることができます。また、広瀬川の美しい風景とともに、詩の歴史と自然の融合を楽しむことができる点もこの記念館の魅力の一つです。

「前橋文学館」が開館している日は常時、無料公開しています。

私たちがおすすめする「前橋」の魅力

「水と緑と詩のまち前橋」は、萩原朔太郎をはじめ、多くの文化人を生んだ情緒あふれる都市です。文化を愛し、育む風土は今でも前橋の気風として息づいており、多くの市民が文化と芸術に親しんでいます。

こうした文化と芸術を愛する市民の気風を受け継ぎながら、詩と文学を深く感じることができる施設として、訪れる人々に新しい体験を提供しています。

また、前橋には多くの歴史文化遺産があります。重要遺跡である古墳群や山王廃寺、レンガ倉庫など、数々の遺産が、古くから前橋に人と文化が集積してきた証であり、地域の豊かな歴史を今に伝えています。

周辺には前橋駅前のケヤキ並木や、四季折々の風景を楽しめるばら園・敷島公園など、彩り豊かな美しい都市空間が広がっています。

また、赤城山ろくに広がる豊かな緑、市内を流れる利根川・広瀬川など、豊かな自然にも恵まれています。これらの自然や歴史とともに文学を楽しむことができる点が、前橋文学館の大きな魅力です。

「前橋文学館」が受け継ぎたいもの

『文学館は建物のことではありません。文学館は出来事です。その意味では、前橋のあらゆる場所が文学館になりうるのです。

文字離れと言われる今、文学館の役割はとても重要です。

「言葉は人間が作ったものだけれど、それ以上に言葉によって人間は作られている」からです。言葉を粗末に扱うということは、人生を粗末に扱うことです。

「前橋文学館」で出逢った言葉や出来事によって、人生がより深い味わいあるものに変貌する。そんな文学館にしていきたいと、強く思っています。』©萩原朔美

基本情報

  • 名称:「萩原朔太郎記念・水と緑と詩のまち前橋文学館」
  • 住所:〒371-0022 群馬県前橋市千代田町三丁目12-10
  • TEL:027-235-8011
  • FAX:027-235-8512
  • 開館時間:午前9時 ~ 午後5時※入館は午後4時30分まで
  • 休館日:水曜日(祝日の場合は翌日)※年末年始その他規則等で定める日
  • 朔太郎展示室観覧料:一般、大学生:100円:高校生以下:無料円:各種障がい者手帳をお持ちの方とその介護者:無料
  • ※特別企画開催の場合は別料金
  • ※団体(15名以上)での観覧を希望される場合は、あらかじめご連絡のうえ、「団体見学申込書」(word・PDF)を5日前までにFAX(027-235-8512)にてお送りください。

お車でお越しの場合

  • 関越自動車道前橋ICから車で15分

公共交通機関でお越しの場合

  • JR前橋駅から徒歩で15分
  • JR前橋駅からタクシーで5分
  • JR前橋駅からバス(3系統)で7分
系統番号 行き崎 前橋駅のりば 降車バス停 所要時間 バス会社
北50 嶺公園 6番 城東町二丁目 約7分+徒歩2分:150円 永井運輸
北51~24 荻窪公園
小坂子
6番 城東町二丁目 約7分+徒歩2分:150円 永井運輸
北10~12 富士見温泉
国立赤城青少年交流の家
6番 城東町二丁目 約7分+徒歩2分:150円 関越交通
北30~32 富士見温泉
田島十字路
6番 城東町二丁目 約7分+徒歩2分:150円 日本中央
渋30~32 敷島公園BT(群大病院経由)
群馬総社駅
3番 城東町二丁目 約7分+徒歩2分:150円 日本中央
高22 新前橋駅西口 6番 立川町通り東 約7分+徒歩2分:150円 群馬中央

駐車場

なし※周辺駐車場をご利用ください。(広瀬川サンワパーキング(市営パーク城東)をご利用の場合、駐車券のご提示で4時間分の無料処理を行います。

公式サイト

備考

  • 萩原朔太郎記念館
  • 〒371-0016
  • 群馬県前橋市城東町一丁目2-19
  • 見学可能時間:午前9時~午後5時(室内の見学は午後4時30分まで)
  • 休館日:水曜日、年末年始(文学館が休館の日は休館となります)
  • 入場料:無料
  • お車でお越しの場合:関越自動車道前橋インターチェンジから車で15分※周辺駐車場をご利用ください。
  • (広瀬川サンワパーキング(市営パーク城東)をご利用の方で、「前橋文学館」を併せて見学していただいた場合は2時間分無料の割引処理を致します)
  • 公共交通機関でお越しの場合:JR両毛線前橋駅から徒歩20分、上毛電鉄中央前橋駅から徒歩5分

まとめ

「前橋文学館」は、詩や文学ファンだけでなく、言葉の持つ力を再認識したいすべての人に訪れていただきたい場所です。

文学と詩が交差するこの空間で、あなたも言葉との新しい出会いを通じて、心に響く体験をしてみませんか?前橋の豊かな自然と歴史の中で、詩の世界に浸り、人生をより深く味わうきっかけを見つけられることでしょう。

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