NPO法人C・C・C富良野自然塾のゼロカーボンな未来と100年先を見据えた森づくり

NPO法人C・C・C富良野自然塾 事業統括 岸上夏樹さんインタビュー
画像引用元:NPO法人C・C・C富良野自然塾
大阪府高槻市出身。大学から北海道に移住し、酪農学園大学環境共生学類の野生動物生態学研究室に所属し、ヒグマのストレスホルモンの研究を行う。この研究をきっかけに森での暮らしに興味を持ち、現在に至る。
画像引用元:NPO法人C・C・C富良野自然塾
目次
introduction
北海道富良野市の大自然の中で、これからの未来を考えられる環境教育を行うNPO法人C・C・C富良野自然塾。作家・倉本聰氏が設立したこの塾では、かつてのゴルフ場跡地を森に還す「自然返還事業」と、そのフィールドを活用した「環境教育事業」を進めています。
北海道の大自然を五感で感じながら体験するプログラムは、演劇的な手法を取り入れたユニークな内容で、ドラマチックな表現や仕掛けによって参加者は地球環境を自然と触れ合いながら楽しく学ぶことができます。
森を還し、未来をつくる富良野自然塾の挑戦
画像引用元:NPO法人C・C・C富良野自然塾
– NPO法人C・C・C富良野自然塾の事業内容について教えてください。
岸上さん:
富良野自然塾では、2005年に閉鎖されたゴルフ場を元の森に還す『自然返還事業』と、そのフィールド内で『環境教育事業』を行っています。
– どのような理念のもとで活動を続けていらっしゃるのですか?
岸上さん:
理念としては、北海道をはじめとする全国・世界各国の子どもたちをはじめ、教師や大人たちに対して事業を行い、富良野の大自然のフィールドの中で五感を鍛えることを通じて環境について考えさせることです。
自然と共に生きる未来~自然返還と環境教育の取り組み~
画像引用元:NPO法人C・C・C富良野自然塾
– 「自然返還事業」について教えてください。
岸上さん:
自然返還事業では、元ゴルフコース6ホールに約8万本の木を植樹しました。この植樹では、三種類の木を三本ずつ寄せ植えし、木々を密集させることで、互いに支え合いながら上方向への成長を促し、風や雪などの厳しい自然条件から身を守る効果があります。また、この植樹方法を通じて、多様性のある自然環境を作り上げることも目的としています。
– 「環境教育事業」についても教えていただけますか?
岸上さん:
環境教育事業では、塾長:倉本聰が書き下ろしたオリジナル台本を使用したプログラムを実施しています。このプログラムでは、五感を使って自然を体感することを通じて、環境問題をわかりやすく、そして楽しく学べる内容となっています。
エコツーリズムが地域にもたらす新たな息吹~富良野自然塾の挑戦〜
画像引用元:NPO法人C・C・C富良野自然塾
– エコツーリズムが地域や観光産業に与える影響について、どのように感じていますか?
岸上さん:
エコツーリズムという言葉は、今でこそ共通認識をもって使用される言葉となりましたが、それ以前は教育旅行に富良野自然塾が選ばれることは少なかったです。しかし、年々参加者数が右肩上がりに伸びてきたことで、地域活性化や観光業にも少なからず影響が出ていると考えています。
自分ごととして考えるエコツーリズム~未来への行動を促す富良野自然塾の取り組み~
画像引用元:NPO法人C・C・C富良野自然塾 『ZeroCarbonTraveler』
– 訪れる観光客に対して、エコツーリズムの大切さをどのように伝えていますか?
岸上さん:
エコツーリズムの大切さは、『ZeroCarbonTraveler事業』を通じて発信しています。旅行をすると必ずCO₂が排出されますが、その量を視覚的に確認できるツールをWebサイトに設置しています。そして、植樹活動に参加してもらうことで、これからの未来に向けてどのような行動を取るべきかを考えてもらうきっかけとしています。
– エコツーリズムを伝える上で、どのようなことを意識していますか?
岸上さん:
「なにかしなければならない」や「こうあるべきだ」ということを伝えるのではなく、現状としてわかることと、想像できるこれからの未来について一緒に考えたうえで、自分ごととして行動を促すように伝えることを心がけています。
誰もが楽しめる自然体験でSDGs達成へ~地域と共に歩む取り組み~
画像引用元:NPO法人C・C・C富良野自然塾
– 自然体験や教育活動において、SDGs達成への貢献をどのように意識されていますか?
岸上さん:
SDGsに活動を当てはめると、地域では質の高い教育が広く行き届くように、1コイン(500円)で参加できる自然体験活動企画を季節ごとに行っています。また、植樹会は基本的に無料で参加してもらっています。お互いにとって無理のない範囲で楽しめる活動が、持続可能な社会につながると考えています。
– 特に重点的に取り組んでいるSDGsの目標はありますか?
岸上さん:
SDGsは17項目に分かれていますが、すべての目標は相互に関連していると考えています。そのため、どれか一つに絞った企画は行っていません。ひとつの企画から興味や関心を持ってもらい、そこから全体像を把握してもらえるような企画を心がけています。
画像引用元:NPO法人C・C・C富良野自然塾
五感で感じる地球の歴史と未来~心に残る富良野自然塾の体験プログラム~
画像引用元:NPO法人C・C・C富良野自然塾
– 観光客が「10年後も記憶に残る体験」を得られるポイントは何だと思いますか?
岸上さん:
環境教育プログラムで実施している「46億年地球の道」がそのひとつです。現在私たちが生きている環境について、五感を使って体感できる内容になっています。森の重要性や地球の構造、地球の歴史を実際に体感したうえで、人類がどのような生活をしているのかを考えてもらうプログラムです。
– 他にも印象的な体験プログラムがあれば教えてください。
岸上さん:
新たな旅のスタイルとして「ゼロカーボントラベラー」という企画を3年前からスタートしました。これは、旅行で排出したCO2を植樹することでオフセットする取り組みです。森づくりに直接参加してもらうことで、「自分が関わった」という実感が生まれ、その記憶は10年以上残してもらいたいと考えて取り組んでいます。
100年先を見据えた森づくり~未来へつなぐ環境教育と持続可能な活動~
画像引用元:NPO法人C・C・C富良野自然塾
– 今後、エコツーリズムやSDGs活動で目指しているビジョンについてお聞かせください。
岸上さん:
環境教育事業については、エコやSDGsへのきっかけとして活用してもらいたいと考えています。最終的なビジョンは、この事業の需要がなくなることです。しかし、森づくりはこれから10年どころか100年単位で続いていくものです。森づくり事業は、これからも関係人口を創出しながら、森と共に生きることを感じられるツアーや活動を続けていきたいと考えています。
NPO法人C・C・C富良野自然塾のまとめ
画像引用元:NPO法人C・C・C富良野自然塾
NPO法人C・C・C富良野自然塾は、北海道・富良野の豊かな自然の中で、環境教育とエコツーリズムを通じて「自然と人が共生する未来」を目指しています。プログラムのひとつである**「46億年地球の道」では、地球の歴史や自然環境の大切さを五感で体感でき、訪れた人々に深い学びと感動を提供しています。また、「ゼロカーボントラベラー」**では、旅行で排出されるCO₂を植樹でオフセットするという新しい旅のスタイルを提案し、持続可能な社会づくりに貢献しています。
森づくりは10年単位ではなく、100年先を見据えた壮大なプロジェクトです。NPO法人C・C・C富良野自然塾の取り組みは、ただ自然を守るだけではなく、人々の心に自然の大切さや未来への責任感を育てています。自然と向き合い、未来の地球を考える――そのきっかけとなる富良野自然塾の活動は、これからも多くの人々にとってかけがえのない体験となっていくでしょう。
NPO法人C・C・C富良野自然塾・会社概要
社名 | NPO法人C・C・C富良野自然塾 |
本社所在地 | 〒076-0017 北海道富良野市下御料 |
公式サイト | https://furano-shizenjuku.com/ |
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