野生動物保護の現場!JWCが目指す持続可能な未来

目次
- introduction
- JWCの事業内容や理念について簡単に教えてください。
- エコツーリズムとどのように連携していますか?観光と野生動物保護を両立させるための工夫があれば教えてください。
- JWCの活動は、SDGsのどの目標に特に関連していますか?
- 実現するために具体的に取り組んでいる活動を教えてください。
- 地域住民との協力は貴社の活動の中でどのような役割を果たしていますか?観光との接点についてもお聞かせください。
- エコツーリズムや野生動物保護を進める上で直面している課題は何ですか?また、それに対する取り組みについて教えてください。
- JWCの活動の中で、「予想外の成果が生まれた」「こんな失敗があったけれど、それが次の成功につながった」というななめうえのエピソードがあれば教えてください。
- 今後の活動計画や目標について教えてください。
- エコツーリズムや観光業界とのさらなる連携について、どのようなビジョンをお持ちですか?
- まとめ
- 基本情報
introduction
NPO法人ジャパンワイルドライフセンター(JWC)は野生動物の保護を目的として設立された野生動物保護団体です。動物病院と連携し、傷ついた野生動物の保護・治療・リハビリを行い、自然界へ戻すなどの活動を行っています。
1988年に前身である「野生動物調査室」として開設し、199
本日は、NPO法人ジャパンワイルドライフセンター(JWC)の佐草優里さんへ取材させていただきます。
JWCの事業内容や理念について簡単に教えてください。
佐草さん:
JWCは環境局・東京獣医師会から委託事業を受けている「のづた動物病院」と連携し、交通事故や窓ガラスへの衝突、人為的な要因で傷つくことの多い野生動物の救護活動に携わっています。
日本にいる野生動物はおよそ1200種ほど存在しているといわれています。日本は島国という土地柄、古くから存在する生物に固有種が多く、私達はぜひこの素晴らしい自然を守りたいと思っています。
そして、今目の前で傷付き苦しむ一羽一羽、一頭一頭の命を救いたい。その一心で日々野生動物と向き合っています。
エコツーリズムとどのように連携していますか?観光と野生動物保護を両立させるための工夫があれば教えてください。
佐草さん:
日本は世界的に見ても非常に豊かな生物多様性を持つ国です。特に、面積比で考えると、日本の脊椎動物の固有種数はオーストラリアにも引けを取らないほどです。
しかし、残念ながら野生動物保護の取り組みにおいては、諸外国と比較して遅れをとっているのが現状です。
その一方で、日本人は古くから八百万の神々を尊重する考えやアニミズムの精神を持ち合わせ、どんなものにも『命』を感じ、『尊ぶ』文化を育んできました。
エコツーリズムは、実際に自然を感じることでそこに息づく『命』に気づきを得られ、『なぜ自然や野生動物を守らなければならないのか』を「知識」だけでなく「感性」を通しても深く理解できる取り組みだと思います。
しかし、この取り組みで重要なのは『自然』や『野生動物』と適切な距離を保つこと。
無関心から関心へと意識が変わるとき、その関心が過剰になり『踏み込んではいけないライン』を超えてしまうことがないように注意が必要です。このラインがあることも同時に知る必要があると考えています。
また、私たちは活動の中でボランティアの方々にも作業をお手伝いいただきながら『その動物がなぜ保護されることになったのか』『そもそも保護されるべきだったのか』『野生動物とはどういった生き物なのか』についてお伝えしています。
ボランティアの方々と共に、これらの活動に取り組むことで、自然や動物に対する理解を深めることを目指しています。
JWCの活動は、SDGsのどの目標に特に関連していますか?
佐草さん:
私たちの活動は、SDGsの目標「15.陸の豊かさを守ろう」に直接関連していると思います。
陸の豊かさを守るには、単に自然環境を保全するだけではなく、その中に生息する生態系全体を守ることが「陸の豊かさを守る」ことだと考えています。
近年では、絶滅危惧種や希少種の保全に注力する動きが広がっていますが、いわゆる普通種と呼ばれる生物の保護はまだ十分とはいえません。
実現するために具体的に取り組んでいる活動を教えてください。
佐草さん:
私たちは活動の中で、人為的な事故などで傷ついた野生鳥獣の救護を行っています。救護対象となる野生動物の多くは、タヌキ、キジバト、ヒヨドリといった普通種です。
普通種の保護は、一見すると「陸の豊かさを守る」という目標から遠いように感じられるかもしれません。しかし、陸地の豊かさを支える生態系において、普通種もまた重要な役割を担っています。それぞれの種が持つ命の繋がりは、生物多様性を形作る上で決して欠かせないものなのです。
私たちは希少種・普通種を問わず、まず「目の前の命を救う」ことを信念として活動しています。この小さな努力の積み重ねが、最終的には陸の豊かさを守り、自然環境の持続可能性を支えるものになると考えています。
地域住民との協力は貴社の活動の中でどのような役割を果たしていますか?観光との接点についてもお聞かせください。
佐草さん:
私たちの活動において、地域住民との協力は欠かせません。
大変ありがたいことに、私たちが活動する町田市では国内外のアーティストから寄贈いただいたワイルドライフファインアートを、和光大学ポプリホール鶴川で定期的に展示させていただいています。
また、隣接する多摩市でもイベントをさせていただいたり、中学校で講演をする機会をいただいたりと、地域の方々との交流を深めています。
観光との直接的な接点については少ないようにも思えますが、町田市が進めている里山再生事業には野生動物の救護・保護も重要な役割を果たします。
自然環境の保全とともに、そこに生息する『野生動物』の救護を行うことで、地域の里山を再生させる生態系全体の維持に貢献することができます。
町田市は、東京都内にありながら、新宿から1時間足らずの距離で、まるで「桃源郷」を思わせる豊かな自然環境を保持しています。この地域には多様な野生動物が生息しており、私たちは、この理想的な環境「里山」を世界に誇れる地域として後世にも残すべきものと考えています。
エコツーリズムや野生動物保護を進める上で直面している課題は何ですか?また、それに対する取り組みについて教えてください。
佐草さん:
野生動物保護を進める上で冒頭でもお話ししましたが、
日々救護を行う中で、全国各地からお問い合わせも寄せられますが、野生動物を助けたいと思い行政に相談しても、「そのままにしておいてください」との返答がくることが少なくなく、このような対応に対して憤りを覚え、当団体に連絡をくださる方も多くいます。
しかし、この対応には法律上の指針が関係しています。
現在の日本では、普通種の野生動物について積極的な保護の姿勢がとられていません。というのも、『普通種の中には人に害を及ぼしている種』『数が増加し生態系を脅かしている種』も含まれ、全体の保全を考えた時に個体への救護は矛盾を生じるという考え方もあるのです。
一方で、行政の中でも『傷病鳥獣救護は人道的な行為』とする考え方もあり、国と市民の安全を背負う以上、どちらに意見を傾けることもできない状況でもある為、行政の担当者も条例に基づいてそのような回答をせざるを得ないのが現状なのです。
私たちが連携する『のづた動物病院』は、東京都獣医師会が環境局から受任した協力事業として傷病野生鳥獣の救護を行っており、治療費や日常にかかる費用や人員、場所等をNPO法人として提供する形を取っています。
ただ、この取り組みを十分に把握しきれていない行政関係者も多く、特に環境省が指定した保護対象外の動物に関しては、『救護前提』での依頼も難しいため、「そのままに」という対応が現実となっています。
また、県ごと、自治体ごとに対応の違いがあるだけでなく、この東京都下であっても判断がまちまちで全国的な統一性に欠けていることも課題の一つです。
私たち自身も基本的には、ひとつとして無駄なく命が巡る中で生きる野生動物たちに対し、その生死に無暗に人間が干渉することは不自然なことだと考えています。
例えば、縄張り争いで負傷した動物まで救護すべきかと問われれば、私たちは「すべきではない」と答えます。野生は野生のまま、それが自然の摂理です。
しかし、『人の手によって傷つけられてしまった』野生動物なら、『助けてはいけない』という姿勢ではなく、『どうしたら助けられるだろう』と考えられる日本に変わってくれることを望んでいます。
JWCの活動の中で、「予想外の成果が生まれた」「こんな失敗があったけれど、それが次の成功につながった」というななめうえのエピソードがあれば教えてください。
佐草さん:
私たちにとって「予想外の成果」と言えるのは、クラウドファンディングへの挑戦です。これまで3年連続でクラウドファンディングを実施し、ありがたいことに今年も目標額を大きく上回るご支援をいただくことができました。
実は始めはクラウドファンディングに対してあまり期待をしていませんでした。私たちのように知名度もなく、小さな団体では達成は到底無理だろうと、理事長も私も半ば諦めの気持ちでいました。
それでも、クラウドファンディングを運営するREADYFORさんでは、未達成の場合に手数料が発生しない仕組みであったこともあり「労力以外のリスクがないなら、活動や情報を知ってもらう場として使おう」と弱気ながらも挑戦すると決めました。
しかし、実際に初めてみると予想を遥かに超える多くの方々からご支援をいただきました。それだけでなく、日々リハビリに励む保護動物たちやスタッフに対して、温かい応援メッセージをたくさんいただいたのです。
普段の活動では、リリースした野生動物から「ありがとう」という言葉をもらうことはありませんし、それを期待しているわけでもありません。
しかし、ご支援者様から「野生動物を助けてくれてありがとう」といただく言葉は、私たちの心に深く響き、活動の大きな励みとなりました。
この活動は経済的に見れば決して成り立つものではなく、ただ自分たちの自己満足(半ば意地!)のように感じる部分もありました。
それでも、クラウドファンディングを通じて多くの方々に共感していただけたことで、改めて私たちの活動の意義を再認識することができました。言葉通り「皆様から背中を押されて」私たちは活動を続けています。
この経験を通して、私たちの活動は『皆様のために、未来の子供たちのために』続けていかなければと感じています。
今後の活動計画や目標について教えてください。
佐草さん:
私たちの現在の最終目的は、東京都内に『野生動物救護園』を設立することです。
現在、私たちの団体では小規模な民間施設を利用して傷病野生動物の救護を行っていますが、スペースが限られており、収容できる頭数にも限度があります。
より大きな施設を作ることができれば、単純に救護できる個体数を増やすことが可能となり、救護活動の幅を広げられます。
また、この救護園には特定外来生物コーナーを作ることも考えています。
近年問題視されているアライグマの増加に関しては、避妊・
現状では、アライグマは捕獲後に殺処分されるケースが一般的ですが、このような仕組みを整えることで、市民が通報しやすくなり、増加問題に対処する新たな方法を提供できると考えています。
エコツーリズムや観光業界とのさらなる連携について、どのようなビジョンをお持ちですか?
佐草さん:
この救護園は救護活動だけに留まらず、エコツーリズムや観光業界との連携にも繋がると思います。
救護園での取り組みを通じて、救護活動に必要な費用や人件費を確保し、持続可能な運営を実現したいと考えています。
例えば、救護園で入館料をいただくことで、野生動物について学べるようなVRなどを用いたアトラクションコーナーで子供から大人まで楽しく学べる場を提供。さらに、害獣被害対策試験場農園で採れた野菜などを使ったカフェを運営することも想定しています。
現在、日本では野生動物保護や救護を「仕事」として成り立たせることが非常に難しい状況です。「野生動物を助けたい」という思いを抱く人がいても、経済的な理由から継続的に取り組むことが難しい現実があります。
私たちの活動も現在は人件費の捻出ができておりません。しかし、野生動物保護・救護活動が仕事として成立する仕組みを作ることができれば、野生動物保護事業は飛躍的に進むと確信しています。
以前、ボランティアに参加してくださる方のお子さんから「将来は野生動物を保護する人になりたい」という夢を聞くことがありました。
この言葉を聞くたびに、私たちは未来の世代が「助けたい」という気持ちを仕事として実現できる社会を用意したいと感じています。
今はその基盤を整える段階ですが、私たちが踏ん張ることで、未来の子供達が野生動物を守る仕事を当たり前に選べる社会を実現していきたいと考えています。
まとめ
JWCは、日本に生息する野生動物の保護と救護を目的として、里山再生や地域住民との協力を通して自然環境の保護にも取り組んでいます。
『野生動物救護園』を設立することで、救護対象を拡大し、特定外来生物の管理や教育施設の運営を計画中です。『目の前の、ちいさな命を救いたい。』その一心で日々野生動物と向き合い活動されています。
野生動物の保護・救護に興味を持った方は、ぜひ公式サイトを覗いてみてくださいね。本日は、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
基本情報
提供団体 | NPO法人ジャパンワイルドライフセンター(JWC) |
---|---|
公式サイト | https://www.jwc-web.org/top.html |
本部 | 東京都町田市山崎町787-17 |
創業年月 | 1990年 前身となる『野生動物調査室』開設
1990年 JWCの任意団体設立 2007年 NPO法人ジャパンワイルドライフセンターとして認定 |
理事長 | 佐草 和泉 |
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