意匠や銘木が随所に見られる近代和風建築「旧齋藤家別邸」のナナメウエな魅力

2024.08.15 john

本日は新潟市中央区にある「旧齋藤家別邸」さんに取材させて頂きました!

新潟の三大財閥の一角を成し、衆院議員としても活躍した四代齋藤喜十郎が1918年に建設した「旧齋藤家別邸」は、日本遺産に認定される国指定の名勝です。

総面積1,300坪のこの広大な別荘には、砂丘の斜面を巧みに利用した回遊式の庭園が広がっています。秋になると、庭園は松林の深い緑と鮮やかな紅葉の対比が美しい風景を作り出し、訪れる人々の目を楽しませてくれることでしょう。

旧齋藤家別邸をご紹介

画像引用元:旧齋藤家別邸

旧齋藤家別邸は、新潟の豪商・四代齋藤喜十郎が、大正6(1917)年から同9(1920)年に造った別邸です。庭に向け開放的に作られた建築は、凝った意匠や銘木が随所に見られる近代和風建築の秀作とされています。

また、砂丘の地形や植生を巧みに利用した池泉回遊式の庭園は、渋沢栄一邸の作庭にも関わった東京根岸の庭師である松本浅次郎・亀吉の作とされ、大正期における港町・商都新潟の風土色を豊かに伝えています。

平成27(2015)年には、「旧齋藤氏別邸庭園」として新潟市初の国指定名勝となりました。

旧齋藤家別邸で注力している事業・イベント


画像引用元:旧齋藤家別邸

旧齋藤家別邸では毎年、日本の四季や伝統行事をテーマとした企画展が魅力的です。

春先の2月と3月には、伝統的な「雛祭り」にちなみ、美しい雛人形の展示があります。

4月と5月には「五月人形展」が開催され、男の子の健やかな成長を願う日本文化が紹介されます。

夏の暑さを涼む趣として、8月には展覧会「齋藤家納涼会」が開かれ、参加者は涼やかな日本の夏の様々な文化が紹介されます。

そして9月には、新潟古町の芸妓文化を掘り下げる「古町花街展」で、その歴史と風情を楽しむことができます。11月には色鮮やかな紅葉を背景に、庭園が見事にライトアップされる「秋の庭園ライトアップ」が、訪れる人々の目を楽しませるでしょう。

また、地元の才能あるアーティストや他の博物館との特別なコラボレーション展示も随時開催し、多様な視点から文化と芸術を楽しむことができます。

さらに、旧齋藤家別邸では、建造物や庭園の見方や見どころを学べる「みかたセミナー」が定期的に開催されています。このセミナーでは、日本の伝統建築や庭園の意匠について深く学ぶことができ、参加者に日本の美の奥深さを感じさせることでしょう。その他、伝統工芸に触れられる機会として「水引講座」が設けられており、水引を用いて色とりどりの小物を制作することができます。

私たちがおすすめする旧齋藤家別邸の見どころ

画像引用元:旧齋藤家別邸

私たちがおすすめする旧齋藤家別邸の見どころを3つ紹介します。

四季折々の景観を楽しめる庭園

画像引用元:旧齋藤家別邸

旧齋藤家別邸の庭園は約4,500平方メートルの広大な敷地に広がり、趣味を凝らした玄関庭や中庭、そして砂丘の自然地形を活用して作られた大規模な主庭に分かれています。

これらのエリアは巧妙に設計された道でつながり、訪れる人々を様々な景観へと誘います。主庭には独立した茶室と茶庭が配置され、その静けさと美しさが特に魅力的ですよね。

この庭園は、砂丘の起伏を活かした散策型のデザインが特徴で、高さの変化を利用して流れる水や滝を取り入れ、まるで自然の渓谷を思わせる雰囲気が漂います。全国から集められた大岩や奇岩を背景に、根上り松や紅葉が四季折々の彩りを提供し、訪問者の心を魅了し続けるでしょう。

庭屋一如

画像引用元:旧齋藤家別邸

数寄屋造りを基盤にしたこの建物は、優れた職人技が光る近代和風建築の秀作と高く評価されています。当主の趣味が反映され、凝ったデザインが随所に見られるため、建築美や独自の工夫がおもしろさを引き立てているでしょう。

各座敷や部屋の床の間や天井には選び抜かれた銘木が使われ、また、欄間や建具も非常に手が込んだ作りです。その建物からは庭園の全体が一望でき、建物と庭園が一体となり「庭屋一如」と呼ばれる素晴らしい空間が形成されていますね。

館内の随所に凝った意匠

画像引用元:旧齋藤家別邸

館内は、見事な装飾が施されており、透かし彫りの㯗間や板戸給が、訪れる人々を魅了します。特に注目すべきは、絵師・佐藤紫煙が手がけた三枚の貴重な板戸絵で、これらは美術的価値が高いとされ、鑑賞者に強い印象を残します。別邸の各所に配されたこうした意匠が、全体の雰囲気に深みと独自の美しさを加えているでしょう。

私たちがおすすめする旧齋藤家別邸の魅力

画像引用元:旧齋藤家別邸

 

新潟市中央区の中心地である古町界隈(旧新潟町)は、約370年の歴史を持つ湊町です。その中でも西大畑地区は、明治時代から続く由緒ある高級住宅街として知られています。

旧齋藤家別邸をはじめ、豪農の館である北方文化博物館の分館や、江戸時代から続く料亭の行形亭や別荘料亭等が立地しています。

数々の歴史的建造物が立ち並び、まるで時が止まったかのような美しい街並みは、往時の新潟の面影を色濃く残しているのが特徴です。

旧齋藤家別邸が受け継ぎたいもの

画像引用元:旧齋藤家別邸

旧斎藤家別邸は、歴史的な価値を次世代に引き継ぐための重要な役割を担っています。この由緒ある建物と美しい庭園を、これまでと同様にしっかりと保護し、訪れる皆様にとって心地良い空間を提供し続けます。建物の定期的なメンテナンスや庭園の管理を怠らず、日々の磨き上げを通じてその魅力を最大限に保つことが重要です。

さらに、訪問者の体験をより豊かにするために、さまざまな企画展やイベントの開催を予定しています。これらの取り組みにより、初めて訪れた方だけでなく、何度も訪れたくなるようなリピーターを増やすことを目指しています。季節ごとの風情を取り入れた展示や、地域文化に焦点を当てた特別なイベントを通じて、いつでも新鮮な驚きや学びを提供できる場にすることが大切ではないでしょうか。

旧齋藤家別邸が単なる観光地ではなく、訪れる人々にとっての心の拠り所となることでしょう。

旧齋藤家別邸の基本情報

画像引用元:旧齋藤家別邸

住所 新潟県新潟市中央区西大畑町576
電話番号 025-210-8350
営業時間 4月〜9月:9時30分〜18時30分
10月〜3月:9時30分~17時00分、ライトアップ日は19時30分まで
休日 毎週月曜日(祝日の場合は開館し、火曜日に休館します)
料金 ・一般300円
・小学生・中学生100円(土曜・日曜・祝日は無料)
※ライトアップ時間は上記料金のほか協力金200円必要
アクセス 新潟駅前バスターミナル9番線発、C20番台・浜浦町線「西大畑」下車、徒歩で6分
JR新潟駅前バスターミナル18番線発、新潟市観光循環バス「北方文化博物館新潟分館前(入口)」下車、徒歩で1分
北陸自動車道「新潟西IC」、磐越自動車道「新潟中央IC」より車で30分
日本海東北自動車道「新潟亀田IC」より車で30分
駐車場 新潟市美術館第2駐車場利用可(台数に限りがあります)
西堀地下駐車場60分無料(旧齋藤家別邸まで徒歩7分)
ウェブサイト https://saitouke.jp/

旧齋藤家別邸のまとめ

画像引用元:旧齋藤家別邸

旧齋藤家別邸は、新潟市に位置する歴史的な名勝であり、大正7年(1918年)に地元の有力商人、四代齋藤喜十郎によって建てられました。この建築は、単なる住居としてではなく、迎賓館としての役割も果たし、訪れる人々をもてなしました。

この別邸の最大の魅力は、庭園と建物が一体となった「庭屋一如」というデザインコンセプトです。各部屋から眺められる庭の景色は本当に素晴らしく、その美しさに心を奪われることでしょう。砂丘地形を巧みに利用した池泉回遊式の庭園と、開放感のある近代和風建築の融合は、大正時代の新潟が持っていた商業都市としての華やかな時代を今に伝えていますね。

新潟を訪れる機会があれば、この文化遺産をぜひ一度訪れてみてください。

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john