「人と地球をHAPPYに。」株式会社アクポニが切り拓く循環型農業の未来

2025.05.28

株式会社アクポニ代表取締役 濱田 健吾さんインタビュー

画像引用元:株式会社アクポニ

濱田 健吾(はまだけんご)
宮崎県出身。商社および外資系IT企業において海外の新規事業を担当する中、アクアポニックスのニーズを感じ、2014年に株式会社アクポニを創業。2017年より渡米し、研究開発に従事。2019年に帰国後、神奈川県藤沢市に自社農園を開設し、テクノロジーやデータを活用した生産実証を開始。現在、①最適なアクアポニックス生産設備の構築と栽培管理、②資源循環の可視化、③バリューチェーンの最適化を軸とした技術開発と導入支援へ尽力している。趣味は釣り。

introduction

画像引用元:株式会社アクポニ

持続可能な食の未来を、テクノロジーと循環型農業で切り拓く。そんなビジョンを掲げて活動する株式会社アクポニが手がける「アクアポニックス」は、魚と野菜を同時に育てる、環境にやさしい農業システム。農薬や化学肥料に頼らず、資源を循環させるこの仕組みは、まさにSDGsの理念を実現しています。

また、株式会社アクポニでは、栽培データを活用した生産性向上や、地域社会との連携、人材育成といった多角的なアプローチで、持続可能な社会づくりに貢献。再生可能な資源循環型農業を軸に、次世代の農業モデルを目指しています。

今回は、濱田健吾さんに、株式会社アクポニの「環境と調和する次世代農業」についてお話を伺いました。

株式会社アクポニの事業内容は理念について教えてください。

画像引用元:株式会社アクポニ

濱田さん:

「アクアポニックスで人と地球をHAPPYに。」をビジョンに掲げる、2014年創業のアクアポニックス専門企業です。アクアポニックスとは、水耕栽培と水産養殖を掛け合わせた無農薬・無化学肥料・無除草剤の循環型農業です。

魚・微生物・植物の三者が生態系をつくり、バランスよく循環することで、生産性と環境配慮の両立ができる農業として、その可能性に世界が注目しています。

画像引用元:株式会社アクポニ

私たちは、よりよい形で資源が循環する社会を目指し、生産者と共に食の生産流通を変革するためのサービス・製品開発を行っています。

「アクアポニックスで地球と人をHAPPYに」このミッションは観光事業やエコツーリズムにどのように反映されていますか?

画像引用元:株式会社アクポニ 公式Facebook

濱田さん:

株式会社アクポニのミッション「アクアポニックスで地球と人をHAPPYに」は、観光やエコツーリズムにも反映されています。

地方では、廃校や遊休地を活用した「アクアポニックスタウン」構想を自治体と連携して進め、観光農園・カフェ・体験施設を一体化した複合拠点を展開。都市部では、飲食店や直売所と連動し、「育てる・観る・食べる・学ぶ・働く」が循環する空間を提供しています。

さらに、親子で参加できる農場見学や、楽しみながらSDGsを学べるクイズを含む教育・農業連動型の体験プログラムを提供し、環境への関心を自然に育む機会を創出。こうした体験を通じて、訪れる人が持続可能な社会に主体的に関わるきっかけとなるよう設計しています。

画像引用元:株式会社アクポニ

最近では、青森県藤崎町で旧弘前実業高校藤崎校舎を活用した「アクアポニックスタウン」構想のアドバイザーを務めました。このプロジェクトは、農業・教育・観光・地域連携などの多面的な機能を持つ複合施設として実施され、2026年度からの事業開始を目指しています。藤崎町の名産品や農福連携と組み合わせた地域活性化にも取り組みながら、子どもから高齢者まで多世代が関われる場を作っていきたいです。

アクアポニックスを活用した農園事業を通じて、観光客にどのような持続可能な体験を提供していますか?

画像引用元:株式会社アクポニ

濱田さん:

アクアポニックス農園では、単なる見学ではなく「循環を体感する」持続可能な体験を提供。観光客は魚への給餌や野菜の収穫、pHや硝酸塩の計測などを実際に行い、水・栄養・エネルギーの循環を五感で学ぶことができます。

画像引用元:株式会社アクポニ

また、施設内では収穫した野菜や魚を使ったBBQや食育講座も実施。子どもから大人まで、楽しみながら学べます。

さらに、廃校を活用した施設では、地域資源と連携したプログラムを展開し、地元の自然・文化・人とのつながりを意識できる場づくりを行う計画です。

これらの体験は、SDGsの実践的な理解につながるとともに、訪れた人自身の行動変容を促すきっかけとなっています。

株式会社アクポニの事業内容の中で、特にSDGs達成に向けて重要だと考えるポイントと、目標について教えてください。

画像引用元:株式会社アクポニ

濱田さん:

弊社は、SDGsのうち「6.安全な水とトイレを」「11.住み続けられるまちづくりを」「12.つくる責任つかう責任」「13.気候変動に具体的な対策を」の4項目を重点課題と考えています。

アクアポニックスは、水資源を約90%削減し、化学肥料や農薬を使用しない持続可能な食料生産技術であり、都市部から中山間地域まで多様な地域で導入が可能。

今後は、企業や自治体と連携し、地域資源とエネルギーを循環させるアクアポニックス農園を全国200か所に整備する計画です。

特にZEB(Net Zero Energy Building)との連携を重視しており、断熱性や自然採光、再生可能エネルギーの活用により建物のエネルギー消費を実質ゼロを目標に、食料生産と環境負荷の最小化を両立するモデルの構築を目指しています。

将来的にはCO₂排出削減型の食料生産としての認証取得も視野に入れ、教育・観光など多分野と連携したSDGsの実装を推進していく方針です。

農園事業や流通事業を通じて、地域経済や地元の人々の生活にどのようなポジティブな影響を与えていると感じますか?

画像引用元:株式会社アクポニ

濱田さん:

アクアポニックス農園や流通事業は、地域経済や人々の暮らしに多面的な好影響をもたらしています。

画像引用元:株式会社アクポニ

遊休地や空き施設を活用した農園の設置により、新たな雇用や交流拠点が生まれ、特に障がい者や高齢者を対象とした農福連携は、地域の多様な人々が関われる環境づくりに貢献しています。

地元飲食店や宿泊施設との連携により、農園で育てた魚や野菜を地産地消することで、地域内の経済循環も強化しています。

画像引用元:株式会社アクポニ

観光面では、農業体験や見学ツアーの開催により都市部からの来訪者を呼び込み、地域の魅力を再発見する契機となっています。実際に、江ノ島電鉄と連携し駅構内に設置したアクアポニックス農園では、観光客が自然循環型の食のしくみを学びつつ、育てた野菜を沿線の飲食店で味わえる仕組みも導入しており、環境教育・観光・地産地消を融合させた好事例となっています。

教育事業において、参加者が「こんな視点もあったのか」と気づくような”ななめうえ”の学びや発見を提供するための工夫があれば教えてください。

画像引用元:株式会社アクポニ

濱田さん:

私たちの教育事業では、「循環」という視点を切り口に、日常では気づきにくい“ななめうえ”の学びを提供しています。

たとえば、魚のフンが野菜を育てる栄養になる仕組みを体験することで、「捨てるものが価値に変わる」という気づきが生まれます。また、「水を捨てない農業」や「肥料を買わない野菜づくり」といった常識を覆す技術を前に、子どもから大人まで多くの参加者が驚きとともに学びを深めています。

画像引用元:株式会社アクポニ

さらに、魚が育てた野菜を「おいしい」と食べる体験は、社会の見方や関わり方を再考するきっかけにもなります。こうした“気づきの設計”を通じて、参加者が自らの行動や価値観を見直すきっかけをつくることを大切にしています。

今後、エコツーリズムや観光分野において、新たに挑戦したい事業やプロジェクトがあれば教えてください。

画像引用元:株式会社アクポニ

濱田さん:

今後は「泊まれるアクアポニックス農園」の展開にも挑戦していく予定です。

自然に囲まれた環境の中で、魚にエサをやり、野菜を収穫し、その場で調理して食べる――そんな“循環の中で一泊二日を過ごす体験”は、子どもから大人まで多くの気づきと癒やしをもたらします。

この取り組みは、アクアポニックスの技術と理念を体系的に学べる「アクアポニックスアカデミー」とも連携し、学びと実践を兼ね備えた滞在型プログラムとして展開していく計画です。

また、カーボンフリーな宿泊施設との組み合わせにより、再生可能エネルギーやコンポストトイレなどの導入も進め、環境負荷の少ない「暮らすように旅する」体験型エコツーリズムのモデル構築を目指しています。

都市と地方、人と自然をつなぐ循環型観光拠点として、全国への展開を見据えています。

株式会社アクポニ・会社概要

画像引用元:株式会社アクポニ

社名 株式会社アクポニ
本社所在地 〒231-0012
神奈川県横浜市中区相生町3-61 泰生ビル2F
設立 2014年4月2日
代表者 代表取締役 濱田 健吾
事業内容 教育事業:アクアポニックスの学校を運営
農園事業:農園のデザイン、施工、資機材の販売
生産事業:農園の運営、生産・流通管理システムの開発
流通事業:生産物の販売・物流支援
公式サイト https://aquaponics.co.jp/

地域とともに育つ次世代農業、株式会社アクポニのまとめ

画像引用元:株式会社アクポニ

魚と野菜が支え合いながら育つアクアポニックス。その魅力を、農園や教育、観光といった多角的な取り組みに広げているのが株式会社アクポニです。

廃校や遊休地を活かした施設づくり、地域資源を循環させる仕組み、さらには「泊まれる農園」の構想など、すべてに通底するのは「アクアポニックスで人と地球をHAPPYに。」という想い。

体験を通して気づき、学び、地域とつながる未来を描く株式会社アクポニの挑戦は、これからのサステナブルな暮らし方や旅の在り方に、訪れた人が五感で循環を感じ、学び、楽しむ、そんな場所が全国へと広がっていく日が楽しみです。

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